古寺鉱泉口から大朝日岳へのルート紹介

古寺鉱泉の登山口からの登山道は、水の枯れない水場が豊富にあり、危険箇所が少なく、大朝日岳登山に最も多く利用されているルートです。市販の地図に記載の標準的なコースタイムは登りで6時間程度です。

ルートの状況は季節や天候、災害で変わることがありますので参考にご覧ください。危険箇所などは別にまとめてありますので、ご覧ください。

古寺鉱泉口から大朝日岳へのルート紹介

出発は古寺鉱泉近くの駐車場です。駐車場は土日や夏休み期間、紅葉の時期にはたいへん混みあいます。。整然とした駐車にご協力ください。

古寺鉱泉までは数百mを歩きます。写真は5月初旬の様子です。残雪のある時期は足元が危険な場合がありますので、ピッケル等はすぐ出せるようご準備ください。

古寺鉱泉からは、鉱泉の建物から北の尾根へ登っていきます。尾根に上ると大きなヒメコマツ(キタゴヨウ)が並んで生えており、当山岳会会員ではヒメコマツの尾根などと呼び慣らしています。

※写真は帰り道の様子になっています。

古寺鉱泉から古寺山中腹まではこのような樹林帯が続きます。ブナを中心に、下部はミズナラやトチ、中くらいの木でタムシバやクロモジ、カエデ類が多く見られます。新緑、紅葉の時期にはそれぞれの色合いの中を進んでいきます。

夏には蒸し暑い樹林帯を汗をしぼられながら登って行くと、ちょうどのどが渇いたころに一服清水の水場があります。一服清水はハナヌキ峰の中腹からの湧水です。

一服清水の付近は広場のようになっており、上り下りとも休憩にちょうどよい場所になっています。

一服清水からほどなく、ハナヌキ峰分岐があります。

一服清水方向から見て、分岐の右が日暮沢小屋へ、左が大朝日岳方向になっています。

写真は5月の古寺山への登りです。ずっと登りが続き、古寺山の肩に上がるまでは樹林帯で展望が少なく夏には辛い登りとなります。

古寺山へ急登まじりに登って行くと、やがて三沢清水(さんざしみず)にたどりつきます。

ここの水場は、当会で古寺山の三の沢上部の水源からホースで引いている水場で、そのため大雨や取水口が埋まったりすると水が止まることがあります。雨が降るなどした場合は、確認をそのつど行っておりますが、大雨直後等には出ていない場合もあるかもしれません。雪が消えてから設置し、雪降るころに撤去しています。

ここも一服清水と同じく、広場のようになっており、急な上り下りの足を休めるのにちょうどよい場所になっています。

古寺山からは、尾根がなだらかに北へ延びています。ハナヌキ分岐からはこの尾根に直登する形で取り付いているわけですが、雪の時期にはその登り降りの位置がわからなくなって道迷いの救助要請が何度も起きています。5月の上旬には写真のように目印を設置するのが通例になっておりますが、融雪や風で倒れたり飛ばされたりすることもあります。雪の時期にここを下る際には地形図とコンパスを持ち、しっかりとした歩測を行ってください。

古寺山山頂へ到着です。古寺山からは、小朝日岳、大朝日岳の展望がよく周りの木々も低くなり、高山帯の近くなったことが感じられます。

古寺山から小朝日へ至る途中の様子。周りの木々はだんだんと背丈を低くしていき、見晴らしの良い中を進んでいきます。

小朝日岳の巻き道と、山頂経由の分岐。

標示のあるところから少し進み、右の分岐へ行くと巻き道。直進が小朝日岳山頂経由です。

巻き道は登り下りしないため体力的に若干楽かと思われます。

ただし、7月上旬までの残雪の頃は滑落の事案が相次いでいるため小朝日山頂経由でお願いします。

小朝日岳の巻き道の様子。

残雪のころにここを通ろうとすると、一度足を滑らせれば入リソウカ沢へ滑落して行くことになります。先行のトレースがあっても雪に不慣れな方は小朝日山頂経由が安全です。

小朝日岳山頂からは大朝日岳はじめ朝日連峰を一望できます。

小朝日岳から大朝日岳へ下るところ。潅木のなかをトンネルのように進んでいきます。写真は上を振り返ったところ。足元は段差の大きい岩まじりとなります。浮いた石もありますので、転倒に気をつけてください。

小朝日岳の巻き道と山頂経由のルートの合流。はっきりした間違いようのない分岐ですが、疲れがたまってくると、ここと小朝日山頂、巻き道でぐるぐると周回してしまったというような例もあるようです。急がずほどほどに登られてください。

小朝日岳を大朝日方向に下り、最低鞍部の熊越えを抜けると周囲の木々は潅木となり見晴らしのよい稜線歩きとなります。

ここまで来ると、晴れていれば大朝日岳を眺めつつ進む明るい稜線歩きが楽しめます。天候が悪いと風がまともにあたるところであるため少し辛い歩きとなります。

銀玉水の水場へ降りるところ。広場のようになっています。

銀玉水は写真左へ10mほど降りたところにあります。

ここからは木製の枠に石を積んだ石段が少し続き、大朝日岳への最後の長い登りになります。がんばりましょう。

銀玉水(ぎんぎょくすい)の水場。6月中旬までは雪に埋もれていることがあります。9月ころには少し水量が細くなることがありますが、すっかり枯れたことは今まではありません。冷たく澄みすっきりとした名水です。

銀玉水からの登りの途中に振り返ります。これまで歩いてきた稜線の道、その奥に小朝日岳。

銀玉水からの登りから、大朝日から続く尾根の肩に間もなく到着のところ。足元が岩になっている箇所があり、砂礫まじりにもなりますのでスリップしないよう気をつけてください。

また、ここから上がってすぐ、風がまともに当たる地形になりますので、天候により強風に備え寒さ対策など銀玉水での休憩中に身支度をおすすめします。

銀玉水からの登りは、毎年遅くまで雪の残る箇所です。7月の上旬までは残っていることが多く、不安な方はピッケルを出して軽アイゼンを装着するなどの装備をなさってください。写真の人の写っているあたりを登っていくことになります。なお、ガスが濃く、残雪上でルートを見失うことがあります。写真の右方向へ下ると登山道のある尾根からはずれてしまうので注意してください。

ここまで登ると付近はハイマツやチングルマ、ヒナウスユキソウの生える高山帯となります。

朝日嶽神社奥の院を過ぎ、いよいよ小屋へ到着です。

小屋が見えると油断してしまいそうですが、ここは風の通り道になっており、過去に左の沢(Y字雪渓方向)へ風で飛ばされた例、吹雪で身動きできなくなった例などがあります。うれしくて小走りしてしまいそうな気持ちになりますが悪天候の際は特に注意して、常に耐風姿勢がとれるように心がけてください。

小屋の前には遭難対策で設置した鐘が。

 

避難小屋から山頂までは10分ほどの登りです。あとはいらっしゃった際のお楽しみに。

登山口からの行程概念図(精度がよくないため実際の山行には使用しないでください。国土地理院1/25000地図をお勧めします)